覚悟って何だろうか。
ある人は、覚悟は執着することであると言った。
どんなに振り落とされそうになっても、しがみつく。
ある人は、捨てる勇気と言った。
他の可能性を捨てるということ。
腹を決める、腹をくくる、退路を断つ。
ここ最近、覚悟が決めている方に何人かお会いする機会があった。その方たちと話していると、様々な覚悟の迎え方、共通の思考や行動パターンが少し見えてきた。
人生では、覚悟をしなければならないときが何度か訪れる。
それは、転職かもしれないし、結婚かもしれない。はたまたマイホームの購入かもしれないし、生死に関わることもあれば、苦手なジェットコースターを子供にせがまれて一緒に乗ることかもしれない。
そんな、大小さまざまな覚悟が必要になったときの、参考になればと思う。
覚悟の迎え方のパターンで考えられるものをいくつか整理する。
①複数の可能性を捨てて1つを選ぶケース
これはよくある。転職や、進学先、外食の場所やメニュー選び、テレビ購入時のサイズ、今晩観るテレビ番組…
時間や金額的にインパクトのでかいものから、選択が間違っていても大して屁でもないレベルまで様々である。
ここでは、選択肢がだいたい同列かつ複数ある。その中で基本的に選択した後がより良い状態になることを見越して選択するものである。
②失うものも大きいが、得るものも大きいケース
事業や自己への投資、マイホームの購入、結婚…。
ある程度決まった選択の中で、そこで考えられる得るものと手放すもので悩みに悩んで実行を決定するもの。判断手法として、統計学的には「期待値」、ファイナンス的に「NPV」などがある。
リターンがとても魅力的なので、それが実現することを信じて選択する。
③精神的・身体的な苦痛を受け入れるケース
苦手なジェットコースターを子供にせがまれて一緒に乗る、親知らずの抜歯、注射、胃カメラ、出産の痛み、
その瞬間は困難に感じるが、時が過ぎれば解決するもの。
それを耐えることで、メリットが得られる。
④受け入れざるを得ない、他に選択肢がないケース
配偶者の脱サラ、降りかかってきた借金、大切な人の病気や死、自然災害…
受け入れ難いが、受け入れるしかない瞬間もある。
今後の状況が悪化する可能性があるが、進むしかない。
しかし、いずれその経験が自分や誰かを助けることも多い。自分にとってはマイナスでしかないが、地球レベルで考えればプラスになるかもしれない。
もちろん、もっと様々なケースもあるとは思うが…ひとまず4つ挙げた。
次は、覚悟と対峙した時の思考と行動である。
今まで出会った覚悟を決めて乗り越えてきた人たちのエピソードや私の実体験から、①~④において共通する思考と行動パターンがあるように思う。
それは、「猛烈な正当化」と「思い込み」、そして「選択後の行動量」である。
実際の例から考えてみる。
① 複数の可能性を捨てて1つを選ぶケース
選んだ選択肢が一番ベストだと信じる。選ばなかった選択肢については、後追いしない。むしろ、選ばなくてよかったと思える情報を集めがち。
万が一失敗だったとしても、「いい経験になった」と考える。
②失うものも大きいが、得るものも大きいケース
きっと成功すると信じる。その選択が成功になるような努力をする。大変な部分もあるが、総じてプラスであると考える。乗り越えた後の口癖は、「あの時、あの選択をしたおかげで今の幸せがある」など。
③精神的・身体的な苦痛を受け入れるケース
じたばたしても痛みや恐怖は変わらない。それまでの時間を如何に有効に過ごすかを考える。なるべく終わった後のことや別のことを考えて、考えないようにする。
ある程度気持ちを落ち着かせるために、最悪のケースなどの情報収集はしつつ、「なるようになる」と割り切る。
④受け入れざるを得ない、他に選択肢がないケース
しばらくは立ちすくんで何も動けないかもしれない。辛い日々が続き、なぜ自分の身に降りかかるのか、と考える。
しかし時がたち、自分の中で整理できてくると、その経験が自分の役に立ったり、同じ境遇にいる人に手を差し伸べられたり、ちょっとのことでは動じなくなったり、人に優しくなれたりする場合が多い。
落ちるところまで落ちて、あとは這い上がるしかないと自分を奮い立たせる人もいる。その経験から自身のミッションを見出す場合も多く見られる。
他の選択肢を憂うよりも、選んだ選択肢を全力で正解にしていく。
選択肢を選んだ時点で正解になるのではなく、正解にしていくものかもしれない。
先日、最新のiPad Pro を購入した。
本体+Apple Pencil+Smart Keyboard =約18万
お金がないが口癖の私が、随分思い切ったものである。
もちろん、仕事で必要になったのが一番の理由であるが、
買ったことを正解にするために、猛烈に使いまくっている。
これが中古だったり、バージョンが古いもので買っていたら、「どうせ安く買ったし」と言い訳して、そこまで使い込まないかもしれない。
ある意味、大金をはたいて、覚悟を決めて購入したからこそ、「絶対使わなきゃ」となるのである。
何か実現したい状態があるのであれば、覚悟を決めて、それをせざるを得ない状況を作ってしまうのが勝ちかもしれないと感じた。
ピンチから大逆転したり、マイナスをプラスに変えている人は、選択した後の行動量がいずれも多い。正解にするまで、ひたすら走っていた。もちろん、選択が間違っていたら早めに切り替えるのも必要であるが。
ここ最近メディアで多く取り上げられている、水泳の池江選手の白血病告白。
彼女の本心はメディアからは分からない。しかし、自分の発する言葉で自分を勇気付け、奮い立たせているのではないかと私は思う。
覚悟がある人の横顔は、どこか凛としている気がする。