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長期滞在バンザイ!1人がいいけど、たまには構われたい派に最強のホテル

「基本的には一人が好きで、静かに過ごすのが好きだけど、たまにはちょっと構ってほしい…」そんな人に朗報です!

山形県でもさらに田舎にある、田んぼのど真ん中に、わがままなニーズを満たす最強ホテルがありました!

これは今年のGWで10連泊したくなるかも。



あれ…ここ山形だっけ?

山形県の南部にある飯豊町。

周りは田んぼ、ちょっと家、田んぼ、な場所。

そこに2017年に開業した新しいブティックホテル「HOTEL SLOW VILLAGE」があります。

夏は田んぼの緑色にホテルが映えます。

山形県を横顔に見立てると、あごあたりです。

訪れたのは年が明けてすぐの大雪の日。周りも雪、雪、雪!(筆者は地元が山形なので、また降ってるよという感じです)

もちろん、除雪グッズも完備。

チェックインするとこんな感じです!

もはや、シカしか見えない!

インテリアも、なんだか洗練されているぞ…私が知っている山形ではない…。

客室のこだわりが半端ない

ホテル内を見てみます。お部屋は1階と2階に20部屋。デラックスルームやスーペリアツインのお部屋があります。

今日は2階のシングルに泊まります。

お部屋はこんな感じ。無料で使えるスマホが!海外からの旅行者に対応できるようにとのこと。テーブルも一枚板。スリッパがなんとビルケンシュトック!

そして、ベッド。

なんとシーリー!簡単に説明すると、ザ・リッツ・カールトン東京などの一流ホテルに導入されるブランドです。20~30万するらしい…。1泊では味わい尽くせないから、せめて3泊以上は泊まりたいところ。しかしながら、夜が楽しみ!(ベッドに仰向けになると出会う木の天井、落ち着く。)

部屋を出ると、こんな場所も。

夏の夜に、ほろ酔いで、ジャグジーに浸って・・・テラスハウスかよ!

しかしながら、夏場は蚊にさされるので注意しましょう。(虫よけ対策はしっかりされているとのこと)

冬は寒すぎて水道管が凍ってしまい、溶かすのに一日がかりなので、基本的にはクローズしているそう。でも、事前に頼めば入れるそうです!

さりげなく家具のショールームや、カフェだったりもする

さてさて、また1階に降りてきました。

座ってゆっくりしようとすると、こんなものを発見。

しかも、どの家具にも。

実は、このホテルにある家具は、全て購入できるそうです!

さすがにその場で買ってもってかえるのは出来ないとのことですが、希望の物はホテルで注文して後日届けてくれるらしい。オンラインストアもあるようです。

ドリンクも豊富です。宿泊客は無料で飲み放題!カフェのみの利用もできるそうで(1人500円)、当日カメラマンで同行した我が夫は迷わずコーヒーをチョイス。

しかも、デカフェ(カフェインレス)が置いてある!カフェインが苦手な私にとっては、普通のカフェでもカフェインレスを置いてあるお店は少数派なので、感激です。

それに、海外で大人気のココアなども。種類が多すぎるぞ!1泊では全種類を制覇できなさそう、やはり長期滞在向きですね。

ドリンクの種類の豊富さにテンションが上がります。

スクリーンもあります。毎晩ここで映画などを流しているとのこと。

ビジネスシーンでも打ち合わせやプレゼンなどでの利用ができます。WIFIや電源も完備。

もはやカフェであり、コワーキングスペースであり、なホテルです。

ホテルは木造一軒家

実はこのホテル、株式会社ホリエが建築・運営しているのですが、彼らは住宅メーカー。なんとホテルは木造一軒家の構造です。これは全国でもここくらいしかないそうです。

株式会社ホリエが建てる住宅の写真

元々、高気密高断熱が売りのホリエの住宅。ホテル全体も、廊下ですら優しい暖かさ。一般的にホテルの部屋は温度調節が大変ですが、こちらは少し低めの温度設定でも快適に過ごせます。

ここで少し裏側の話をすると、ホテルを運営するのにかかる経費の中でも非常に高額なのが光熱費。スロービレッジは機能的な構造で作られているので、一般的なホテルより、2割以上は光熱費が節約できているのではないかというお話でした。

だからこそ、家具やインテリア、アメニティの細かいところまでこだわることができるそうです。そんな裏話を教えてくれたのが、今回インタビューする支配人の樋口さん。

駅伝から人生を学んだ支配人

支配人である樋口さん、ここで働く前は、同じく飯豊にある旅館の支配人をされていたそうです。

驚きなのが、元々は中学と高校の体育の先生だったそう。
さらに、学生時代から駅伝をしており、全国大会に出場するほどで、当時は1日40キロは余裕で走っていたらしい。一生分走り切ったと断言されていました。

そんな樋口さんに、支配人として日頃どんなことを考えているかを聞いてみました。

「スタッフに関しては…接客に携わる最前線のスタッフに対して、気持ち追い込ませてしまうと良い接客はできないですね。 長年勤めていてそう思います。」

「お客様の雰囲気を見て、話し多い人か、そっとしてほしい人かを見極めますね。あまりかしこまった接客にはしたくないので、スタッフは皆話しかけやすい雰囲気を出せるように心がけています。」

さらに、チームワークに関しても次のようにおっしゃいました。

ホテルの運営は、責任のリレー形式だと思っています。だから、それができている状態がホテルにおけるいいチームワークなんです。」

駅伝人生を歩んだ樋口さんらしい言葉です。

この話は、ホテルだけではなく、シフト制の職場(病院やコンビニなど24Hサービス業)、リモートワークの仕事をする人などにとって、今後重要な論点だと感じたので、別途記事にしようと思います。

かいつまんで説明すると、ホテルのスタッフは全員が顔を合わせることがない為、他の人が仕事をしている姿が基本的に見れません。だからこそ、より良い接客や運営のためには目には見えないチームワークが必要だと樋口さんは語ります。そこで駅伝理論が活きてくるのですが、今の自分ができる精一杯のことをし、次に控える人のことも考えて行動し、責任というバトンを渡すのだと。

現場で同僚をフォローできないからこそ、自分が出来る限りを尽くす。

駅伝ではよく「一秒をひねり出せ」という言葉が使われたりしますが、まさにそれです。

全員が自身の役割を果たせているのが、ホテルにおいてはいいチームワークであり、そのような中で接客できればお客様にもいい雰囲気が伝わるのではないかとおっしゃっていました。

株式会社ホリエの皆さん、楽しそう。

朝食ど忘れ事件。

素敵な話を聞くと、失敗談も聞きたくなるのが人間の性。

失敗エピソードも聞いてみました。

「実は、朝食の準備をするの忘れてしまったことがありました。幸い、私の実家がホテルから車で10分のところにあって、しかも農業やっていたんです。なので急いで畑に飛んでいって、トマトやら何やらを収穫して朝食に出したことはあります。一度きりでしたけど、あれは焦りました。」

ちなみに、朝食はこんな感じです。朝から和食でがっつり食べたい人には少し物足りないかも。白米も食べたいとリクエストは多々あるそうですが、今のところは対応はしていないとのこと。

新しい取り組みがあるらしい

そして、タイトルにもあった、「長期滞在・1人がいい・でも構われたい」

長期滞在かつ1人をお勧めする理由は、静かで周りには田んぼしかない環境、高級シーリーベッド、ナイトシアター、ドリンク飲み放題、座り心地の良いソファ達、WIFIや電源などの作業環境充実などが挙げられます。もちろん、ジャグジーを一人で独占するのも贅沢です。

でもでもちょっと構われたい時もある人にピッタリの、スロービレッジの新たな試みをご紹介します。

それは…ホテルでボードゲーム!

ホテル内にはボードゲームがたくさん!

「ボードゲーム(board game)とは、ボード(盤)上にコマやカードを置いたり、動かしたり、取り除いたりして遊ぶゲームの総称。」(Wikipediaより)わかりやすいのが、オセロやすごろくなどです。

ここ最近ボードゲームが流行っていて、ボードゲームカフェなんかも全国各地にあるようです。それがなぜここにあるのでしょうか?

元々、スロービレッジを運営する株式会社ホリエの専務である堀江龍弘さんが、近所でお寺でボードゲーム大会をやっているお坊さんがいるという話を聞きつけ、その盛り上がりから、ホテルにも何か役に立つのではないかと考えたそうです。

一番左が専務の堀江龍弘さん

「例えば、家族で来られたお客様や団体で来られた方が、仲間内でやるのも宿泊のいい思い出になると思うのですが、1人で宿泊されているお客様同士が、夜な夜なボードゲームをしたらすごく楽しいだろうなと。もちろん支配人やスタッフも一緒にやったら盛り上がりますよね。」

ボードゲームに関しては、専務もスタッフの人も何も分からなかったので、ボードゲームコンシェルジュとして滋賀県で活動されている井上和行さん(twitter:@bodoge_soncho)にお願いして、スロービレッジに合うゲームをチョイスしてもらったとのことです。

カフェ利用中の家族がボードゲームで遊んでいました。

ホテル滞在中の満足度を高める以外にも、ボードゲームの導入は次のようなメリットがありそうです。

ホテル側としては、お客様と直接会話ができること。

ボードゲームをしながら、「なんでこのホテルを選んでくれたんですか?」とか「気になったところはありますか?」と聞けたら、アンケートを取るよりよっぽど効率が良い。何より、顧客からのポジティブな反応が従業員のモチベーションにもつながるので、とてもいい機会と考えます。

泊まる側としても、宿泊者同士で仲良くなれるかもしれません。実際、スロービレッジでは、宿泊客同士で仲良くなり、SNSでやり取りするかたもいらっしゃるそうです。素敵な旅の思い出はずっと心に残ります。

これはホテルに限らずですが、誰でも気軽に参加できて、コミュニケーションが取りやすいのも魅力です。

ボードゲームは値段もお手頃で(千円台~数千円程度)、所要時間は5~15分の物が多くあります。シンプルな共通のルールのもと楽しめるので、不要な気遣いもいりません。コミュニケーションを取るという点では、飲み会で気を遣いながら親睦を深めるより、かなり効率的ではないかと思います。職場でも家庭でも、気軽にコミュニケーション促進が期待できます。

ボードゲーム大会をやってみた!

では、実際にボードゲーム大会をやってみよう!ということで、支配人と私で他のお客さんや隣の居酒屋の従業員さんにも声を掛けながら、人が集まるのを待ちます。

ドブルを準備して1人寂しく待っている写真

ドリンクを飲みながら、ソファでごろごろして待ちますが、この日は結局誰も来ず…。

そりゃ家族やカップルできていたらみんなで過ごしたいですよね、はい。

年明けの三が日だったので、家族連れなどが多く、やむなく断念。

しかし、このままでは終われない!ということで、支配人と私の2人で、ボードゲーム大会を始めます。

こちらはペンギンパーティ、絵がかわいいです。

実際に使ったのが、「ドブル」と「ペンギンパーティ」

どちらも子供でもできるくらいシンプルで楽しいので初心者にオススメです。

ちなみに、ドブルはスピード命なので、結構盛り上がります。「よっしゃ!勝った!」「うーわ、負けた」みたいな小学生がテレビゲームで盛り上がっている状態が作れます。

でもでもでもでも…。

初めましての2人ボードゲームは少し寂しい。しょうがない。

やはり、ボードゲームは大人数が楽しいですね。

ということで、専務や支配人からは、「お客さんがもっと気軽に参加したくなる仕組みを考えます!」と心強いお言葉をいただいきました。今後どうなるかが楽しみです。

年齢も立場も、初めましても何も関係なく、フラットに心地よいコミュニケーションが取れる場所に、素直に人が集まります。そして良質なコミュニケーションが取れるので、成果も生まれやすく、長期的に生き残っていくはずです。

スロービレッジの今後に期待大です。

当日、仲良くなったファミリー宿泊客と雪で遊ぶ我が家のおチビさん

ホテル・スロー・ビレッジ http://hotel-slow-village.com/
シエルホームデザイン http://www.cielhome.jp/
家具通販 Gino(ジーノ)http://gino-horie.com/

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1987年生まれ 山形県出身・滋賀県在住 どこに移動しても、楽しくたくましく暮らすのが目標。そのために、主に仕事やプライベート、心地よい居場所作りをテーマに研究中。
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