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【はじめてのおつかいから考える】達成感が人や周りを元気にする話。

この前企画のお手伝いをした、「はじめてのおつかいinFarmersMarket」では様々な子のストーリーがあった。


最初からやる気満々で最速でおつかいをして帰ってくる子。
ゆっくり慎重に、不安ながらも歩いて行く子。
お母さんから離れられず、甘えん坊な子。


実際のおつかいの程度には差があるものの、共通事項があった。

それが、おつかいが終わった後の「達成感」「自己肯定感」それらからくる「超笑顔」であった。周りもそれにつられて笑顔になっていた。

できないことができたら、嬉しいし、元気になるよなぁ。

これは、子育てだけじゃなく、仕事で誰かを育てる時も、自分のためにも応用できるのではと思い、書き始めた。



そもそも、達成感とは何か?

【達成感】
あることを成し遂げたことによって得られる満足感。(大辞林より)

もう少し具体的にすると、今まで自分がやったことのない事や出来なかった事、自分にとっては労力のいる物事をやり抜くことで得られる満足感や優越感なのだろうか。


達成感を得られることで何に良いか?

⑴自己肯定感が生まれる

現代では自己肯定感の低い若者が増えていると言われるのをよく聞く。


自己肯定感(=自分ならできる)という自信がある人は、前向きで明るい人が多い気がする。その雰囲気が伝播するのか、周りも清々しい人が集まってくる。

⑵モチベーションが上がる

こちらも現代のないない病の一つ、モチベーション。


本屋さんにいけば、どうすればモチベーションが維持できるか、部下のモチベーションをどうやって上げるかみたいな本が沢山ある。皆、モチベーションとやらにはとても苦労している。


達成感があると、「よし、次もやってやろうじゃないか!」みたいに気合が入る。

⑶元気になる

単純に、元気になって生き生きしてくる。


たいてい周りも褒めてくれるので、さらにいい気分になる。
褒められると承認欲求も満たされるので、とても精神衛生に良い。


ご機嫌な人と一緒にいると、周りも気分がよい。
いつも不満ばかり、イライラしている人と一緒だと周りもネガティブになる。


実際に達成感を感じるためには?

達成感がいい事なのは言わずもがなですが、
問題は、どうすれば自分や相手が達成感を感じられるのか、再現性が高い方法が知りたい…

ということで、はじめてのおつかいをベースに言語化してみる。

①本人に見合うちょっと背伸びした事柄を任せる


はじめてのおつかいでは、年齢もさることながら、子供ができるレベルは千差万別。
親御さんが今のお子さんの段階をよく理解してらっしゃるので、
いつもできる範囲よりちょっと上のお願いをします。

それでも、依頼する側はよかれと思って頼んでも、相手にとっては難しすぎたりすることも。

特に仕事などでは、育てる側が思うステップと、育てられる側のステップにはギャップがある時が多々ある。新入社員でもそれぞれ成長スピードは違う。それを認識した上で、成長のチャンスを用意してあげられたら最高。

②丸投げせず、分解してステップを踏ませる


いきなり難しいことを全部依頼すると、フリーズしてしまうことは誰でも経験したことがあると思う。

今回のおつかいでも、いきなり「豆腐やさんにおつかい行ってきて!」なんて言われてもどうしたらいいか分からず子供は立ちすくんでしまう。

だから、事前に親子で下見に行ってもらった。

「ここのお店のこのおじさんから、これを1つ買ってね。」と
手取り足取り説明して子供に理解してもらう。
(テレビで見るはじめてのおつかいは馴染みのお店だけど、今回企画したはじめてのおつかいは、参加する人にとっては全く初めての場所でのおつかいだった)


丸投げと一任は違う。
任せるとは自分が楽になることではないんだと思った。


それでも、大好きなお母さんから離れられない子も何人もいた。
その場合は、お店の前まで一緒にいって、すぐ後ろで見守っていてくれるという状況でおつかいをしてもらった。

たった1メートルでも、その子にとっては大きな一歩。

任せる方には大したことなくとも、本人にとっては全身が震えるような一歩かもしれない。

それを理解できる人でありたい。

③それでも任せないと成長はない、できるようにはならない


仕事をしていると、自分がやった方がはるかに早く終わるのに…と思う場面がよくある。
でもずっとそれをしていると、自分も忙しいまま、部下も成長せず、結局組織が成長しない。

山本五十六の有名な言葉を思い出す。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

はじめてのおつかいに参加したお母さん達が、まさにこの言葉そのものだった。

一回では無理、根気よく見守る。

そして褒める、応援する。

母は強し。

④安心して失敗できる環境づくり


大人になるにつれ、できることしか任せられなくなってくる。
特に、業務委託なんかで仕事をしていると、自分ができる仕事しか頼まれない。
誰も私のチャレンジなんてお金を払ってまで期待していないのだ。

あとは、失敗した時のリスクが高くて、チャレンジしにくいという環境もある。
失敗した人が叩かれる場面をよく見るからこそ、なおさらである。

できることだけやっていると、毎日がつまらなくなる。
そりゃ自己肯定感は上がらないよね、という話。
あまり元気もなくなってくる。

失敗しても大丈夫と踏めるものがあるからこそ、思い切り能力を発揮できるのかもしれない。そこで成功できれば、多分ものすごく成長する。


ライフネット創業者の出口さんの言葉。(「任せ方」の教科書より)
「任せるからこそ、できるようになる」


はじめてのおつかいでは、親御さんには離れたところで待っていてもらった。
任せてもらえている、自分は信頼されているという感覚も自分の存在を肯定するものになるのだろう。

たとえ失敗しても、トライしたことを全力で肯定する。
お母さんたちはどんな結果であれ、聖母マリアのような優しい笑顔で子供を抱きしめていた。

その時の子供達の満足げな表情、ちょっとはにかんだ笑顔、そして安堵感。
見ているこちらも元気になった。
本人も周りも元気になるんだよね。


任せてもらえる環境。
そこで失敗しても生きていける、帰る場所があると人は強くなるのかもしれない。
そんな素敵な大人になれたらいいのだけど。

はじめてのおつかいは来月もやることに。
またいろんなストーリーが見られるのが楽しみだ。

そして私も頑張ろう。

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1987年生まれ 山形県出身・滋賀県在住 どこに移動しても、楽しくたくましく暮らすのが目標。そのために、主に仕事やプライベート、心地よい居場所作りをテーマに研究中。
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